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圧電素子(ピエゾ素子)

圧電素子について

圧電素子とは、力を加えると電荷や電界を発生する「圧電効果」を示す素子です。反対に電圧を印加すると変位して力を生じます(逆圧電効果)。つまり圧電効果は、運動エネルギー(機械エネルギー)と電気エネルギーとが変換される現象と言うことができます。なお、逆圧電効果も含めて「圧電効果」と総称して呼ぶ場合もあります。

圧電効果はピエゾ効果(英:piezoelectric effect)とも呼ばれ、ピエゾとは「押す・圧縮する」を意味するギリシア語「piezein」が由来と言われています。

圧電効果は、 1880年にフランスの物理学者であるジャック・キュリーとピエール・キュリーの兄弟によって発見されました。弟ピエールは後に夫婦でノーベル物理学賞を受賞しています。 (ピエールの妻は、女性初のノーベル賞受賞者として名高いキュリー夫人です)

圧電素子(ピエゾ素子)は、身近なところではライター等の着火装置に使われています。スイッチを押し込むと内部の部品が圧電素子を叩いて電気の火花(スパーク)を発生させ、 ガスやオイルに点火する仕組みになっています。

圧電素子の材料として、初期は水晶(石英)等が使われていましたが、研究が進んで、より効率的な材料を作れるようになり、現在では高誘電体のセラミックスに高い電圧を加えて分極処理を行った圧電セラミックスが 多く用いられています。

機械的な力や振動を電気に変換する圧電効果は、加速度センサ、フォースセンサ、振動ジャイロセンサ、超音波診断装置等で幅広く応用されています。また、踏むとLEDが点灯する床発電システムなど、発電用途での研究も行われています。

圧電素子の逆圧電効果(電気を機械的な力に変換する効果)は、高性能なアクチュエータ(ピエゾアクチュエータ)の駆動源として応用されています。圧電素子は、高い分解能、高速動作、小型、大きな発生力およびエネルギー効率が良い等の優れた特徴を持っています。

図5

圧電素子は様々の形態でアクチュエータの駆動源として利用されています。例えば、単板形態(単板型圧電素子)や積層形態(積層型圧電素子)が挙げられます。単板形態と違って、積層型圧電素子は低電圧で駆動できる様に圧電材料の内部に多数の内部電極を同時焼成した素子のことを指します。 多層に圧電材料を積層しているため、単板形態では欠点となる変位が小さいことを克服し、一部の用途に使用できるレベルまでにすることができました。


圧電素子(ピエゾ素子)の特性

圧電素子は、優れた性質を備えている一方で、以下のような特性も持っています。

① 変位量が小さい
 圧電素子は印加する電圧に応じて滑らかに伸長しますが、伸び率は自分の長さの約0.1%程度です。例えば、積層方向の長さ40㎜の圧電素子の発生変位は約40~50μm程度であり、 髪の毛1本の太さ(平均50μm~80μm)にも満たない変位量です。このため、圧電素子の応用範囲は非常に制約されています。この変位量の小ささという欠点を補うため、弊社では『てこの原理』等を利用して変位を数倍から数十倍に拡大する変位拡大機構技術を開発しました。弊社のメカトランスという製品は、圧電素子に変位拡大機構を組み合わせることで変位量の小ささを劇的に改善しただけでなく、変位方向も応用に応じて変更できるピエゾアクチュエータです。

② ヒステリシスがある
 圧電素子は、印加電圧をゼロ電圧から最大電圧まで印加した場合と、最大電圧からゼロ電圧まで印加した場合の変位経路が異なる性質を有します。それを「ヒステリシス(履歴現象)」という呼ばれます。そのため、同じ電圧で印加しても同じ変位経路にならないため、異なる絶対位置を示し、位置誤差となります。その誤差は最大変位量の約15%になります。
 ピエゾアクチュエータは圧電素子を利用しているため、そのヒステリシスの特性を継承します。要するにピエゾアクチュエータには、同じ電圧を印加した場合にぴったり同じ位置まで動く、という再現性が厳密にはありません。しかし、変位量を測定するセンサを組み込み、センサからの信号をフィードバックし、印加電圧を調整する制御(クローズドループ制御)を行うことで、位置の再現性が高く安定した駆動が可能となります。クローズドループ制御では、ナノメートル単位での精密な位置決めが実現できます。
 フィードバックをせずに、印加電圧のみを入力する制御をオープンループ制御と呼びます。オープンループ制御は、クローズドループ制御に対して動作位置の精密さや再現性は劣りますが、比較的簡単に安価に構築できます。
 弊社の「ピエゾアシストステージ *」という位置決めステージは、オープンループ制御で安価に利用することもできますし、PID制御システムによるクローズドループ制御を構築し、15nm刻みで安定した高精度な位置決めを行うことも可能です。

③ 温度特性およびクリープ現象がある
圧電素子は温度変化により伸縮します。また一定の電圧を印加し続けていると、変位量が少しずつ増加するというクリープ現象が発生します。オープンループ制御では、こうした微妙な位置ずれの修正はできませんが、クローズドループ制御を行うことで、精密かつ安定した制御が可能となります。

④ 高温多湿環境に弱い
 圧電素子は、室温かつ低湿度(40%以下)の環境であれば、半永久ぐらい使用できる動作回数に耐えますが、高温高湿(例えば湿度90%)という環境で駆動させると、わずか数週間で破損することもあります。これはDC電圧での駆動条件に限ります。頻度の高いON(最大電圧)/OFF(ゼロ電圧)的な駆動条件では若干耐久性は改善されることになります。

弊社は20年以上の設計ノウハウ・使用ノウハウを持ち、適切な設計、駆動方法及び使用方法をご提案できるので、何なりとご相談ください。

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