取り扱いの注意

1)ヒステリシスがある

 印加する電圧と発生変位の関係を取ってみると、同じ印加電圧でも電圧上昇時点での発生変位と電圧下降時点での発生変位には若干の違いが出ます。これは圧電素子の持っている電圧と発生変位の関係がそのまま反映されたもので、メカトランスとしては不可避の特性です。変位の絶対値を正確に制御する必要がある場合には変位センサの併用が必要になります。例えば、MTA02S200F2の場合のヒステリシス特性は図8の通りです。

2)DC印加+湿度環境を避ける

 メカトランスにDC電圧を掛け放しにする様な使用条件で湿度の高い環境(相対湿度60%以上)に置くと、圧電素子がマイグレーションを発生して電気的に短絡する可能性があります。国内では、雨の多い時期には通常のオフィス環境の中でもマイグレーション発生の可能性があります。クリーンルームでの使用の場合には特に問題はありません。
 また、メカトランスに印加する電圧が短い時間の場合には、湿度環境の中でもマイグレーションの可能性が少ないことが分っています。

3)引っ張り力を加えないまたアームを強く押さない

 圧電素子を構成しているのはセラミック材料であるため、引っ張り力には弱く、強い引っ張り力を加えると破壊する可能性があります。メカトランスの中に圧電素子に圧力を加える(与圧)機能を持たせてありますが、それでも引張り力を避ける様な使用上の工夫が必要です。
 また、メカトランスの両側のアームはこれを押し込むと圧電素子に引っ張り力が加わる方向になります。経験的に申しますと、メカトランスの剛性を手で感じ様とされるためでしょうか、殆どの顧客の方はメカトランスのアームを指で押して見られる様です。弱い力であれば問題はありませんが、殊更に強く押さない様にお願い致します。

4)直流電圧を直接かける場合にはご注意を

 直流電圧を例えばスイッチ等を用いて直接メカトランスに加えた場合、直列に抵抗が全く無い状態ではメカトランスの変位ピーク値は加えた直流電圧で静的に発生する変位の2倍に達します。従って、メカトランスに直接直流電源を接続することは大変危険です。場合によっては一発の電圧印加でメカトランスが破壊されることもあります。適宜直列の抵抗を接続し、また加える電圧は80Vを超えない様にして下さい。電圧を徐々に上昇する場合には全く問題はありません。

5)温度変化に伴いメカトランス先端が変動します

 今回製品化したメカトランスでは、周囲温+度1℃の変化に伴い、ほぼ印加電圧1Vを加えた場合に相当するメカトランス先端位置の変化があります。変化の方向は、温度を上げた時、図3 矢印の変位方向の逆方向になります。対策も可能ですので、この現象が実用上問題になる様であればご相談下さい。

6)電圧極性は単一で

 印加する電圧として、赤の方をマイナスにした場合に、ほぼ20Vまでは変位はマイナスになりますが、それ以上のマイナス電圧を印加すると再び変位はプラスになります。これは圧電素子の分極反転が起こるためで、常に分極反転が起こる様な条件で使用すると圧電素子が破壊する可能性があります。特別な場合を除き、電圧極性は単一(赤のリード線は零電圧以上)として下さい。



(各部分の寸法を表2に示します)


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