「メカトランス」とは

 圧電素子は比較的低い電圧で所要の変位(伸び)を発生させる素子で、電気エネルギから機械エネルギに変換する変換効率が60%と大変高く、また発生力は例えば、10mm x 10mm断面の素子で350kgfと大変高いことが特長ですが、発生する変位が数μmから40μm程度と髪の毛1本分にも満たないため、適用範囲が大変制約されています。弊社では、『てこの原理』等を利用して、この少ない変位を数倍から数十倍に拡大する変位拡大機構技術を保有しております。変位拡大機構は、受動的な(新たなエネルギの発生を伴わない)機構で、電気回路部品で言うと丁度トランス(正しくはトランスフォーマ、変成器)の機能に対応します。そこで、弊社ではメカニカルなトランスという意味で「メカニカルトランスフォーマ」という呼び方をすることとし、「メカトランス」という呼び名をつけさせて頂きました。本来、この名称は変位拡大機構の部分のみに適用するものですが、圧電素子と組み合わせたアクチュエータに対してもこの名称を使用しております。

「メカトランス」の特徴

1.エネルギー効率が高い
電気エネルギから機械エネルギに変換される効率が約25%と大変高いことが特長です。また、ある変位状態を保持するためには所定の印加電圧を維持すれば良く、電圧を維持する場合の電流は実質零です。
2.高速動作が可能
一般に電磁吸引力を利用するアクチュエータに比して高速での動作が可能です。駆動限界である共振周波数については技術ノート「動的負荷での動作」をご参照下さい。
3.小型化・薄型化可能
同等の変位と力を発生する電磁吸引力を利用するアクチュエータに比して、小型化、特に薄型化が可能です。
4.制御性が良い
電圧と変位がほぼ比例関係にあるため、所定の変位を得るには、電圧の制御により可能です。但し、電圧の上昇下降に伴って、同じ印加電圧でも発生する変位は同じにならない(ヒステリシス)が存在するので正確な発生変位が要求される場合には変位センサが必要です。
これについては、技術ノート「取り扱いの注意 1) ヒステリシスがある」をご参照下さい。


応用分野

「アクチュエータ」とは動く機構の総称ですが、メカトランスの応用分野は、広くアクチュエータの全ての領域に対して適用できる可能性があります。今回弊社としての標準タイプとして製品化させて頂いたのは一直線上で伸び変位を発生するものですが、引っ張り変位あるいは、数度程度の回転運動を発生させる機構も可能です。産業機器分野、医療分野、自動車分野、コンシューマ分野、航空機・宇宙産業分野のすべての分野にわたり、適用可能と考えております。

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